
バンダイナムコグループ全体で1600億円に達するガンダムビジネス。特集『ガンダム・ジークアクスの舞台裏』(全13回予定)の#10では、その全体戦略をまとめるチーフガンダムオフィサー(CGO)である榊原博・BANDAI SPIRITS社長に、ガンダムというIP(知的財産)の強みと課題、そしてビジネスの中核を占めるガンプラ事業について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
20年以上の歴史がある「ガンダムプロジェクト」
映像・物販・ゲーム・音楽…全ガンダム事業が連携を取っている
――バンダイナムコグループの中で、キャラクター名が付く役職三つのうちの一つ(他にはチーフたまごっちオフィサー、チーフパックマンオフィサーがいる)である、チーフガンダムオフィサー(CGO)を務めていらっしゃいますね。具体的にはどのような仕事なのでしょうか。
チーフガンダムオフィサーという役職は2003年からあり、初代はその後05年にバンダイの社長に就任した上野和典さんが勤めていましたが、私は4代目となります。
バンダイナムコグループの中でも数少ない自社IP(知的財産)であるガンダムのブランド価値の最大化を図ることがミッションで、やはり03年に発足した、グループ全体で中長期的な戦略を立てるガンダムプロジェクト(Gプロ)をまとめています。
Gプロは映像、トイ、ゲーム、音楽など各ガンダム事業ユニットの責任者が全員出席して、各種情報や、次の作品で取り上げるテーマなどの進捗について共有しながら、いかに適切なタイミングと内容でマーケティングを行うかの方針を固めるといったことを行っています。
ガンダムIPの価値の向上には、いい作品といい商品、映像と商品の二軸をどちらもうまく展開することが必要です。バンダイナムコフィルムワークスが魅力的な新作を展開することと、物販事業ではボリュームゾーンであるガンプラ、ゲーム、トイ、菓子などでさまざまなタッチポイントを増やすこと、どちらも並行して動くことが大事です。
――『機動戦士ガンダムGQuuuuuuX(ジークアクス)』の反響・視聴率やファンからの声や反応の状況、振り返りと、それが物販等のガンダムビジネス全般にどのような影響を与えたかの総括をお願いします。またガンプラの供給不足がバンダイナムコグループの成長の足かせになっている、という指摘があります。どう解消しますか。また、CGOとしてガンダムIPの最大化のためには何が重要と考えていますか。