部下の様子を把握するための
構造的コミュニケーション術
テレワーク下での目に見えない課題を把握するのに役立つのが、話を論理的に整理するツール「ピラミッド・ストラクチャー」。もともとは、論理の流れを三角形に整理し、その妥当性や完成度を視覚的にチェックできるものです。下記の図のようなピラミッドに話を当てはめ、論理構造を整理してからコミュニケーションをすることで、物事を整理しやすくなります。
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一方で部下との面談時には、ピラミッド・ストラクチャーを参考にし、部下の話を整理しながら情報を集めて、部下の状態を把握していきます。つまり、ピラミッドの下部である具体的な情報を集めながら、部下の主張(メインメッセージ)やその根拠(キーメッセージ)を正しく理解していくのです。
そして、テレワークによって見えていなかった部下の仕事について整理し、部下が立ち止まったり悩んだりしているところに、適切に対応していく。こうした丁寧なアプローチが必要かと思います。
構造的に人の話を聞くというと、冷たいイメージがあるようですが、より適切な助言をするための手段として捉えていただくといいでしょう。共感しながら情報を組み合わせて、相手の状態を正確に把握してあげるということです。助言は必要なくて、ただ話を聞いてほしいだけという場合もあるはずです。
チャットで部下に指示する際も
構造的コミュニケーションが使える
部下の仕事ぶりが見えなくて不安というお悩みと同様に、管理職の方からよくいただくのが「ビジネスチャット」でのやり取りについてのお悩みです。
「メールよりもさらに短い文面が求められる」「既読がつくため、すぐに返信しなければいけない雰囲気がある」などの変化にとまどっている方も多いようです。
ビジネスチャットで部下に指示を出すときも、「ピラミッド・ストラクチャーでいうところの、メインメッセージ(結論・主張)は何か?」を常に考えておくとよいでしょう。どういったアクションを相手に求めているかを最初に伝えたうえで、要件が一瞬で終わることなのか、5分程度相談したいことなのかを話し、後で相手の時間をもらうという配慮も求められます。
チャットは同期か非同期かによって、使い方が異なります。同期の場合、メールよりも「電話のような感覚」で使うのがおすすめです。その場で回答を求めると、強制的に相手の時間を奪うことになりかねません。端的に趣旨を伝え、相手が忙しい場合は時間を改めてやり取りするような柔軟性が必要です。