話をまとめるのが苦手な部下を育てる、2つの方法
テレワークを円滑に進めるために活用したい論理思考。管理職の方からは、「部下から適切なアウトプットが出てこない」「部下の言っていることがまとまっておらず、自分に何を求めているか分からない」というお悩みも、よく耳にします。もともと話すのが苦手な若手社員は、テレワークだとますます同僚や上司に相談ができず、孤立していくことも想定されます。
部下がこうしたコミュニケーションの問題点を改善するには、彼らに論理思考を身につけてもらうことが必要です。そのトレーニング方法は、2つ。1つは管理職自身が論理的な思考に基づいたコミュニケーションを実践することです。前述のような方法で適切に部下の話を聞くことに加え、メールやメモ、報告書でも、文章をつくるときには構造化されたものをアウトプットするなど、上司のコミュニケーション術が部下のお手本になるように心がけましょう。
もう1つは、部下に対してポイントを押さえたフィードバックをしてあげることです。感情的に良しあしや、好き嫌いを伝えるのではなくて、基準を明確にしてフィードバックをすることが、コミュニケーションの改善につながっていくと思います。具体的な改善方法としては、期初に部下と面談をして、その期での目標を設定。その目標に基づいて、日々の業務でもフィードバックをしていくといったやり方が考えられるでしょう。
フィードバックするときにも、テレワーク下では注意が必要です。物理的に隣に座って仕事をしているわけではないので、意識的に部下が取り組んでいる仕事のプロセスに関与することが求められます。特に若手社員に対してはサポートが必要です。昨今は成果主義の導入を求める向きもあるようですが、成果や実績での評価は、適切な目標設定と能力測定のもとに実現できます。育成フェーズの若手社員に対しては、オンラインでもプロセスに関与することが大事だと思います。
具体的には、週1など時間を決めて定期的にコミュニケーションを取ることなどが挙げられます。また、気軽に相談をできるような関係性や環境を提供するというのも大事ですね。例えば、社内で共有しているカレンダーに、声をかけてよい時間を明確に記載しておくこと。大学教授のオフィスアワーのようなイメージです。意識的に部下が話しかけやすい状態というのをオンラインでつくる気配りが必要になってくるでしょう。
テレワークが広がると、場所を問わずフラットに人とつながることができる良さがあります。国内外の各地に拠点があるグロービスも、以前はメンバーの多い東京に情報が偏ることがありましたが、テレワークによって解消されつつあると感じています。テレワークの良さを享受しながら、場所を越えて仕事をうまく進めていきたいですね。
(グロービス講師 許勢仁美、取材・構成/吉田瞳)