パソコン(PC)業界にようやく、在宅勤務の恩恵が回ってきた。だが、その追い風のかなりの部分は、子どもたちから来ている。市場調査会社ガートナーとインターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)は9日、4-6月期(第2四半期)のPC販売データを公表。今回はめずらしく、両社の数字に大きな開きが出た。IDCによると、4-6月の世界PC出荷台数は7230万台近くと、前年同期比11.2%の伸びとなった。一方、ガートナーの出荷台数は6480万台と、増加率は2.8%にとどまる。過去12四半期の双方のデータの差は平均1%未満にとどまっていたが、今回は12%近く開いた。大きな差が生じた背景には、「クロームブック」の存在があるようだ。IDCのデータは、クロームブックの販売台数を反映しているが、ガートナーには含まれていない。グーグルの基本ソフト(OS)「クロームOS」を搭載した廉価ラップトップであるクロームブックは、とりわけK-12の生徒(準備学級から12学年)の間で人気が高い。新型コロナウイルスの流行を受けて、学校は3月から閉鎖されており、自宅で遠隔授業を受けるため、生徒の間ではデバイス需要が急増した。ガートナーのアナリスト北川美佳子氏は、4-6月期(第2四半期)にクロームブックの販売台数が前年同期比で34%以上の伸びになったと推測している。ただ同氏は、まだ暫定データであり、すべての地域のデータを反映していない可能性があると強調した。新型コロナのパンデミック(世界的大流行)により、クロームブックの需要は、従来の主要市場である北米以外でも高まっているとしている。