苦境に立つ中小塾が意味すること

 回答のあった13塾は在籍者数によって3つに分けられている。30人以下がAからCの3塾、51~99人がDとEの2塾、100人以上がF~Mの8塾である。

 最も規模の小さい3塾では、Bが女子の倍増によりなんとか前年並みを確保したが、ほかの2塾、特にC塾は60%減と大きく落ち込んでおり、存続の危機を感じさせる。

 また、100人に満たないDとEは、いずれも減少しており、特に男子の落ち込みがうかがえる。

 100人以上が在籍する中堅規模になると、減少幅は小さくなり、中には20%も生徒数を増やしているGのような塾も出てくる。

 規模の小さな塾は個人経営であったり、地元密着型であったりで、大手のような激しい競争感覚を授業において発揮するよりも、個別指導的に面倒を見る傾向がある。在籍者も、難関・上位校をアグレッシブに目指すというよりも、自宅から比較的近くにあるような中堅・中位校を志望する傾向にある。

 小規模塾の苦境は、模試で志望校として挙げられることも少なく、偏差値もつかないことがあるような中位校以下の志願者が減少するのではないかと示唆している。

 一方、これとは別にサピックス、日能研、早稲田アカデミーにも同様に尋ねているのだが、いずれの大手塾も、在籍者数はおおむね増加基調だった。

 大手塾は堅調、小規模塾は苦戦という状況は、実はリーマンショック後と同じで、私立中学の難関・上位校はほぼ堅調、中堅校も概ね同様で、中下位校は受験者数減となることが2021年入試では予想されるのだ。