朝鮮半島も北朝鮮が「先軍政治」で強硬姿勢を続けるので南北の緊張が続くし、ロシアもプーチン大統領が今回の憲法改正によってさらに長期政権を維持する可能性があり、北東アジアでもしたたかに自国利益を追求するだろう。

 台湾の独立や香港の民主主義が脅かされ、武力衝突の状況も想定され、日本にとっては同時多発の事態を想定する必要がある。

 だが、まずは第一列島線の防衛をしっかりすることだ。この10年で最も変わったのは尖閣列島周辺だ。中国が領海侵犯を繰り返すことが常態化している。

 そのためにも日米の同盟関係をより強化することだ。米国は対中強硬戦略に変わっており、オーストラリア、インドと連携したインド洋と太平洋の防衛構想を打ち出している。日本もその一環でこの4カ国での連携体制を念頭に防衛戦略を描かないといけない。

敵基地攻撃能力は必要
抑止力としてやり返す「矛」を持つ

――「敵基地攻撃能力」の保有の是非が改めて焦点になっています。

 イージス・アショア導入と同時に、日本が敵基地攻撃能力を持つべきと提言してきた。攻撃しようとする相手に打撃を与える能力を持つことが、相手に攻撃をさせないことになる。

 ミサイルの飛び方なども変わってきているなかで、敵がミサイルを発射しようとしたら、日本も敵の基地や施設を攻撃できる能力を持つことによって抑止力を働かせることを検討すべきだ。

――専守防衛や海外での武力行使はしないという日本の防衛政策の根幹が揺らぐことになりませんか。

 鳩山一郎内閣以来、座して死を待つというのは憲法の趣旨とは考えず、他に手段がない場合に限り、敵基地攻撃能力の保有は法理的には自衛の範囲ということで、整理はされている。

 保有する防衛力も必要最小限ということで、攻撃型空母とかICBM(大陸間弾道弾)、爆撃機は持たないという国会答弁もあるが、ミサイルを撃たせない「バランスのとれた反撃力」を持つことも、憲法でいう自国防衛の範囲だ。

 武力攻撃を受けたときに初めて軍事力を行使するが、それも自衛のための必要最小限にとどめるという専守防衛の基本は変わらない。あくまで敵に日本を攻撃させないようにする抑止力としての位置付けだが、技術進歩などもあって防衛の概念や抑止の仕方は変わってきている。