個性を理解できたら、LGBTという言葉もなくなっていくはず

 芸能界きっての愛されキャラとして多忙な毎日を送るはるな――彼女は自分が置かれた状況や、現在の日本についてどのような考えを持っているのだろう。

はるな愛さん、いじめに耐え抜いていま世の中に望むこと

 「いまでこそ、オネエタレントや女装家と呼ばれる人たちが芸能界でたくさん活躍していますが、私は特別視されたり、腫れものに触るように扱われて痛々しくなってしまうことがイヤだったんです。一時期、皆さんの代表のようになってしまったこともあったけど、私は代表ではなく、はるな愛というタレントの一個性として見てほしかった。ここ数年、『LGBTについて考えよう』というテーマで講演会などに呼んでいただく機会もありますが、私自身、実はその言葉があまり好きではないんですよ。私たちはそんな言葉がない時代に必死に道を模索し、社会になるべくなじむようにと生きてきた。なかには、LGBTという言葉ができたことで気持ちがラクになった人もいるんだろうけど、『その言葉で理解してね』と声を上げるのは、違うんじゃないかなって。それぞれが抱えた性は、体の不自由な人がいることと同じように“個性”のひとつ。その個性を理解することができたら、LGBTという言葉もなくなっていくんじゃないかな」

 2010年に、はるなは日本テレビの「24時間テレビ『愛は地球を救う』」のチャリティーマラソンランナーに抜擢され、約85kmを完走した。日本を代表するチャリティー番組の顔に起用されたことは忘れられない出来事になったという。

 「私は子どもの頃からテレビが大好きだったんですけど、かつてのテレビというのは元気を与えてくれる“箱”だったと思います。歌番組やバラエティはいまよりもギラギラしていて、生命力にあふれていた。それが最近はちょっと醒めているというか、周りの目を気にし過ぎているというか。時代の流れももちろんあるんでしょうけど、例えば、ヤラセと括られる過剰な演出も、初めから嘘で固めようとしていたのではなく、より楽しいものにしたいという思いがあっての結果だったり……そこでダメになる番組が増えていることは、テレビを愛するひとりとしてすごく寂しいし、残念です」