衣料、住居、食品と、総合的な品揃えで、日常のワンストップショッピングを支えてきた総合スーパー(GMS)が、消費不況のあおりを受けて、2009年8月中間決算は、揃って赤字の全滅に終わった。目先の策は値下げ販売しかなく、それがますます収益を押し下げている。我慢比べはいつまで続くのか、先の見えない状況に陥っている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)

 11月19日に発売が解禁されたボージョレ・ヌーボーで、今年は大手スーパーが激しい安値戦争を繰り広げた。

 昨年は大手スーパーの販売するボージョレは、1280~1480円という価格帯が売れ筋だった。それが、今年はペットボトル入りという“奇策”に加え、スタートから1000円割れの価格競争となった。

 まず、11月9日に、イオンが980円で価格を発表すると、西友が890円を打ち出した。次いで、ドン・キホーテが880円を発表すると、西友は解禁前日の18日に780円に値下げした。

 さらにイオンが6000本限定で750円の商品を出すと、当日になって西友は749円に値下げ。同業他社は、「890円といっていた商品を749円にしたのだから、ボージョレの商品単体では赤字ではないか」と冷ややかだ。

専門店に食われた
かつての稼ぎ頭

 昨秋のリーマンショック以降の深刻な消費不況で、小売り業界はこうした激しい値下げ競争に突入した。しかし、急激な価格下落にコスト削減は間に合わず、総合スーパー(GMS)の2009年度中間決算(3~8月期)は、軒並み赤字(下グラフ参照)。イトーヨーカ堂が半期決算で赤字になったのは、創業以来、初めてのことである。

 「価格で負ければ、お客が離れてしまう」(イオン)。イオンは低価格路線を貫くことで、客数は0.7%増とかろうじて前年を上回ったが、客単価の6.8%減をとうてい補えるものではなかった。

 そもそもGMSは、この10年あまり構造不況が指摘されてきた。