「あと10年生きられないかも」
長引く咳で生きるのがイヤに
「調子悪そうですね、何かあったんですか」
1年ぶりに顔を合わせた仕事関係者が心配そうに聞いてきた。ススムさん(仮名・56歳)はイベント制作会社の役員兼プロデューサーだ。20年近くも取り仕切ってきたイベントは、クライアントからスタッフ、関連の業者までほぼ顔馴染み。万事“あうんの呼吸”で進行し、今回も気持ちよく打ち上げのビールを飲むことができた。だが、疲れた。たった2日間なのに1年分のエネルギーを使い切ったような面持ちで、ススムさんは答えた。
「あぁ、もう4カ月も咳が止まらないんだ。夜もあんまり眠れていないし、食事中も咳が出るから落ち着いて食べられないんだよね。体重も4キロ落ちた」
ウインドサーフィンとゴルフが趣味で、年中真っ黒に日焼けしていた精悍な風貌は一変し、枯れ木のように生気がなくなっていた。
「それは大変ですね、病院は行ったんですか」