新型コロナウイルスの影響で鉄道各社が厳しい経営を迫られている。こうした中、需給によって価格を変動させる時間帯別運賃、いわゆる「ダイナミックプライシング」を検討する動きが、鉄道業界で高まりつつある。(鉄道アナリスト 西上いつき)
時間帯別運賃の
実現の可能性
新型コロナウイルスの感染者数の拡大は夏を迎えてもとどまることを知らず、国民の不安を募らせる日々が続いている。鉄道の利用客数も少しずつ戻っているとはいえ、東京都の「新型コロナウイルス感染症対策サイト」によれば、都営地下鉄の利用者数の推移は、朝ラッシュ帯においてコロナ前と比較していまだ3割減の状況が続く。
また、JR3社の2020年4~6月期の連結決算はJR東の1553億円の赤字をはじめ、四半期ベースで過去最大の赤字となるなど、コロナウイルス感染拡大による外出自粛の影響を受けたものになった。
そんな中、7月7日の報道によるとJR東日本の深沢祐二社長は、運賃収入減少を受けて時間帯別運賃導入の可能性について言及。さらに22日にはJR西日本の長谷川一明社長もそれに続くように運賃制度見直しを検討していると発表した。いわゆる「ダイナミックプライシング」の動きだ。