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対談前編の「事業部人事(HRビジネスパートナー)の役割は、経営と現場をつなぐこと」では、カゴメCHO(最高人事責任者)有沢正人氏にHRBP(事業部人事)導入のきっかけや業務内容についてお話をうかがった。今回の対談後編では、有沢氏がHRBPの人選で重視した点や、制度を社内に浸透させるためのポイントについて話してもらった。(構成:谷山宏典)

HRBPを選ぶときに
重視した「3つの条件」

中原 HRBPを導入するにあたって、有沢さんが特に気を遣ったことはありますか?

有沢 大事なのは、誰がHRBPを担当するのか、つまり「人選」です。私は3人のHRBPを選ぶとき、次の3つの条件で選びました。1つ目が「人事部経験がまったくないこと」、2つ目は「担当する部門で現場経験を長年積んでいること」、3つ目が「コミュニケーション能力が高いこと」です。

 たとえば、営業担当のHRBPは、3つの支店で支店長を務めたバリバリの営業のベテラン社員を引っ張ってきました。生産調達部門担当のHRBPは、工場長として生産業務の最前線で働き、あともう1回どこか大きな工場で工場長を務めたら、次はさらに重要なポジションになるだろうという人物に任せています。そのほかのスタッフ部門全般を見ているHRBPも、営業政策部という、スタッフ部門では最大の部署で部長を務めていた経験のある優秀な社員です。

中原 人事経験よりも現場経験を重視するのはなぜですか?

有沢 ひとつには、現場の社員たちに対する説得力、ですね。現場を知らない人から口出しをされれば、社員たちは当然反発します。けれど、現場の業務に精通して十分な実績のある人ならば、社員たちもその言葉に耳を傾けます。

 また、3人のHRBPは、社員からどんな相談を持ちかけられようが答えることができるし、「自分も以前、同じような悩みを抱えていたことがあって……」と社員の話に共感を示しながら、アドバイスもできます。それは彼ら自身がずっと現場で経験を積んできたので、担当部門のことは隅から隅まで把握できているからです。結果として、社員たちからの信頼を得ることができ、何か問題が発生している場合は迅速かつ確実に解決策を講じることができます。