面談内容はやはり、新型コロナ感染症に関する質問や不安、在宅勤務や同居家族のストレスなどの相談、通勤の不安や自分の状況を上司がわかってくれないなど、新型コロナに関するものも多くあります。

 そこで今回は、コロナうつの“予防薬と処方箋(せん)”について産業医の現場経験から書かせていただきます。

家族間の考え方の違いが
不安につながる

 都内の会社に勤めるAさんは、入社15年目の働き盛りの40代後半の女性でした。Aさんは会社から1時間以上離れた他県に、母親と2人で暮らしていました。緊急事態宣言で彼女も同僚と同じように在宅勤務となりました。初めのうちは、通勤時間がなくなったことや通勤電車での感染リスクが避けられることなどで、多少の仕事の不便さ(パソコンの画面が会社より小さい)はあったものの、在宅勤務自体をとても好意的に捉えていました。お母様も娘が日中いなくならないことを喜んでいました。

 しかし、在宅勤務が2カ月続くと、次第に接するのは母親のみという生活に息が詰まる感覚を覚え始めました。また、緊急事態宣言があけて出勤が始まったら、通勤時間の長い自分が家にコロナを持ち込んでしまうのではないかと、る母親がとても心配し始めました。

 この話を友人にしたところ、お母様の不安は当然でそう思わないAさんが信じられないという趣旨のことを言われてしまい、自分はひどい人間なのかと悩み産業医面談に申し込まれました。

 産業医面談で、同じ状況でも不安に思う人も思わない人もいることや、お母様はもしかするとAさんが日中いなくなってしまうのが寂しいのではないかということを知り、Aさんは少し落ち着きました。

コロナの捉え方が
メンタル不調を招く

 私のクライアントでは、6月から全員出社が始まった企業がある一方、9月末まで全社員在宅と決まった企業もありました。このほか、6月は50%程度の出社率ではじめ7月から100%出社を目指す企業、12月までは20%の出社率で調整することを決定した企業もありました。また、出社がほぼ会社命令で絶対という雰囲気の企業、自由度が高く、社員の意思が尊重される企業もありました。

 社員は社員で、出社することを、“在宅”からの解放と喜ぶ人、業務がはかどると喜ぶ人がいる一方、仕事は家でもできるとわかり出勤を嫌がる人、上司と顔を合わせるのを煙たがる人など、色々な声がありました。