ユルゲン・クロップ――サッカー好きならその名を知らない人はいないだろう。2019/20シーズンで、リヴァプールFCをプレミアリーグで初優勝に導いた監督であり、プレミアリーグ年間最優秀監督賞を受賞した人物だ。以前は、香川真司氏が在籍していたボルシア・ドルトムントのチームを率いており、ブンデスリーガで2度の優勝に導いた経験を持つ。名実ともに、世界最高の監督を支える技術に、「ライフキネティック」が大きな役割を果たしている。
前回のインタビュー動画に大きな関心を寄せていただいたので、欧州サッカー界で、なぜ「ライフキネティック」が広まったのか、『Life Kinetik® 脳が活性化する世界最先端の方法』の発売を記念して、著者ホルスト・ルッツ氏とユルゲン・クロップ監督との秘話を紹介する。
なぜ世界のスポーツ界で
ライフキネティックが急速に広まったのか?
2008年9月26日、私はセミナーセンターでトレーナー候補者に指導していました。すると突然、スタッフのマリアが入ってきて、私たちのやりとりをさえぎって、「ブンデスリーガのボルシア・ドルトムントで監督をしていらっしゃるユルゲン・クロップさんからお電話です!」と言ったのです。
もちろん、そのようなことが現実に起こるなんて信じられません。私はすぐにドッキリ番組だと思い、クールに「彼に言っておいて。またかけ直すって」と気のない返事をしたのです。
その少し後の休憩で私が事務所に行ったら、マリアが私に電話番号を書いたメモを渡してきました。私は仕方なく彼女のジョークに付き合い、電話番号を押したところ、なんと本当にユルゲン・クロップ監督が電話に出たのです。ものすごくビックリしました!
彼はテレビで、私とフェリックス・ノイロイター選手が一緒に出演している番組を見たというのです。そのときフェリックスが、ライフキネティックという新しい種類のトレーニング法によって、いかに自分の競技成績と生活が向上したかを熱く語っていたそうです。
クロップ監督は、「それを聞いて、自分の選手たちにも同じような経験をしてもらいたいと思った」と言いました。
つまり、ライフキネティックで選手の能力を高め、試合に勝つ可能性を上げたいというのです。4日後に、私たちはドルトムントで業務提携のための契約を結びました。
その後、彼のクラブは、ブンデスリーガとDFBポカールでダブル優勝、さらにUEFAチャンピオンズリーグへの出場も果たしています。彼は、このようなボルシア・ドルトムントの成功を支えた欠かせない要素の1つとして、ライフキネティックを挙げてくれています。
でも、じつは私たちもクロップ監督にずいぶんと助けられました。彼は、自分の考えをいつもオープンに語ってくれましたし、さらに、ほかのサッカー監督にも私を紹介してくれたのです。本当にありがたかったです。彼は、ブンデスリーガの監督フォーラムで私がプレゼンテーションをする機会までつくってくれました。
また、ZDFのスポーツ報道番組でライフキネティックに関する報道企画が持ち上がったときに、彼もその場に同席してくれました。リポーターのミヒャエル・プフェッファーが、これまでにないトレーニングメソッドを番組で紹介しようと、ボルシア・ドルトムントのキャンプ場にクロップ監督とノイロイター選手、それにライフキネティックのスタッフを集めるという企画を提案したのです。
プロサッカークラブの監督であるディーター・ヘッキング、ロビン・ドゥット、トーマス・トゥヘル、エヴァルト・リーネンらもクロップ監督のアドバイスを受け入れました。そして、ノイロイター選手とボルシア・ドルトムントの成果によって、スポーツ界全体がライフキネティックに関心を持つようになりました。今や、ライフキネティックを導入していないスポーツ種目はほぼないといってもいいでしょう。