たとえば、トランプ政権が誕生した後に、米政権が迷走していると思われた2017年あたりに円高が進んだ一因も、アメリカに比べて相対的に日本が安定しているという判断があったからといわれている。

 世の中は全て相対的なものであり、日本が全ての面において絶対的に優れているということはあり得ないし、それは無理なことだ。必要なのは、「相対的に日本がより信用がある」という状態をつくっておくことだ。それが投資先としての日本の魅力であり、さまざまな自然災害に見舞われながらも日本の信用を保ってきたことは、アベノミクスの成果の1つといってもいいのではないか。

「つなぎ」の政権はどれほどの
求心力を保てるか

 足もとのコロナ対策については、これまですべて経済政策と裏表で進められてきた。賛否はあるし、すべてが良い政策であったとはいえないだろう。ただし、コロナ感染拡大を医学的な観点から防ぐのが医療従事者の仕事だとすれば、全体のバランスの中で意思決定をするのが政府の役割であった。批判があったとしても政策を推し進めてこられたのは、8年間の長期政権の安定性と求心力によるものだ。

 その意味で、今後「つなぎ」の政権が誕生したとしても、安倍政権ほどの求心力はなく、コロナ禍と経済悪化の2つを強い求心力で乗り越えられるかは、大いに不安だ。

 次の政権をあえて「つなぎ」と述べたのは、来年秋には衆議院議員の任期が終わるため、次の首相は少なくとも今後1年くらいの間に選挙の洗礼を受ける必要があるからだ。次期首相がどれだけ実力のある人物であったとしても、就任直後の政権は8年の実績を持つ長期政権の求心力には及ばないだろう。

 そもそも安倍政権が長期政権になった前提として、かつての民主党政権、それ以前の自民党政権を含めて短命政権が続き、それが政治の不安定化を招き、信用を低下させたことがある。多くの人は、「長期政権にも問題はあるが、政治と経済の安定のためには必要だ」と考えているのではないだろうか。