『成長したい』『誰かの役に立ちたい』という欲求
企業が障がい者を雇用するにあたり、改めて考えるべきことは何でしょう?
「組織で働く一番の魅力は、一人ひとりの弱みをなくすことができることです。これはマネージメントの父と言われるピーター・ドラッカーが言っていることですが、個々の強みを生かして全体成果を上げる、これは障がい者雇用も同様です。数合わせの障がい者雇用は失敗します。戦力として活躍してもらう、経営戦略として考えることが重要です。そのためにも、まずは成功の実績を一人作ることです。『障がい者は仕事ができる』と分かれば、会社の空気が変わり、障がい者をどんどん雇用していけるようになります。障がい者と触れ合う経験がなかった場合、障がい者に任せられる仕事などない、障がい者は簡単な仕事や生産性の低い仕事しかできない、障がい者は成長しない、などの偏見を持ちがちですが、さまざまな事例を研究し、また、本人の意欲にも耳を傾け、前向きに仕事を生み出していくことが大事です。たしかに、障がい者は時間がかかったり、配慮が必要だったりすることはありますが、それ以外は健常者と変わりません。たとえば、『障がい者にはずっと同じ仕事を』と考えている企業もありますが、それは非常にもったいないです。障がい者の就労支援をしていて感じるのが、『成長したい』『誰かの役に立ちたい』という欲求を持っている人が多いこと。成長とは他人との比較ではなく、昨日の自分を超えることです。適切な目標設定とキャリアプランを設けることで、成長し、さらには定着につなげられます」