――石破氏を総裁にしたくないという雰囲気が、自民党内でここまで根強い理由は何でしょう。

 今の自民党の実力者たちは、これまでの安倍政権の体制を崩したくない。変化ではなく、継続を前提に考えているのです。石破氏は、国政選挙で6連勝し総裁として結果を出し続けた安倍首相に対して、批判的な態度を貫きました。そんな石破氏がもし総裁になれば、体制をガラリと変えてしまう恐れがあります。それを大方の人が不安に感じたのでしょう。

石破氏が総裁選で
苦戦する真の理由とは

 さらに勘繰ると、好き嫌いの問題だけではないのかもしれません。安倍政権下で起きた森友、加計、桜を見る会などの問題を石破氏に追及され、不都合な真実が明るみに出たら、自民党は混乱に陥ります。そうした側面から、石破氏が危険視された可能性もあります。

 かつて、田中角栄首相が金脈批判で辞任し、その後、当時の自民党内で最弱の反主流派だった三木武夫氏が、総裁に就任したケースがあります。これは、国民にクリーンなイメージを与えることが目的でしたが、三木首相はその後発覚したロッキード事件で疑惑の積極的な究明に動きました。そのこともあって、田中元首相は裁判の被告人となったのです。そうした「過去の記憶」も、情勢に影響を与えたかもしれません。

――岸田氏や石破氏が、これから劣勢を挽回できるチャンスはあるでしょうか。

 ここまで菅氏支持が固まってしまうと、難しいでしょう。しかし、2人がそれでも出馬するのは、「次」を見据えているからです。次期総裁は、安倍首相の残りの任期を引き継ぐ形になります。来年9月にはまた自民党総裁選が行われるため、そこでもう一度勝負できる。もし来年も目指すなら、今回出馬しておかないと、「勝ち目のない戦いから逃げる人」というネガティブなイメージが付き、不利になってしまいます。つまり今回は、勝ち負けではなく、出馬をすること自体に意義があるのです。

 もちろん、どちらが2位につけて、どちらが3位に沈むかという問題はあります。今回の結果が、次期総裁選の優劣に少なからぬ影響を及ぼすことが考えられます。