観光という産業構造の転換は難しい
空きホテルを資源に企業受け入れに注力
――観光業を主とする自治体の今後の在り方とは。
ついこの間まで、観光は国の重要施策で、成長戦略だったわけです。いいときはすごくいいが、人が動いてくれないとどうしようもないもろい産業でもある。でも、この産業構造を転換するのは正直難しい。
今後は、今まで5000円だった旅に1万円を払ってもらえる付加価値を付けなくてはなりません。安心安全を徹底した特別な旅を提供する必要があるでしょう。
一方で、別府市は空いたホテルを資源として、企業からのワーケーションの受け入れに力を入れます。最近では毎日のように企業からの引き合いが来ています。1社で200～300人規模をまとめて受け入れるつもりです。
――それはどこかの旅行会社を通じて人を集めるのですか？
いえ、企業と直接やりとりしています。
別府市は都市の規模が大きいのでワーケーションに向いている。インターネット回線の安定性なども含め、街としてのインフラが整っていると言えばよいでしょうか。
たとえば、普通の温泉街なら、3日は過ごせても10日は厳しいはず。別府ならコンビニもあるけれど、小さな温泉街だとそれもないですからね。
――経営が厳しいホテルは廃業もやむなしという考えですか。
事業譲渡という形もあるかもしれない。あるいは、100室のうちの20室をワーケーションのために空けてもらうといった形で、市が一緒に動けることもあると思います。
