列島明暗 都市・地方財界・名門企業#7
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全国各地の消費を“蒸発”させたコロナショック。その深刻度は、地域や業種によって格差が生じている。ダイヤモンド編集部は100万人分の消費データを基に、ホテルや外食、アパレル、百貨店、自動車など主要9業種について、全国10エリア別のコロナの消費へのインパクトを分析。特集『列島明暗 都市・地方財界・名門企業』(全15回)の#7では、コロナによる地方の「消費蒸発深刻度」を検証した。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

1.7兆円のGo Toキャンペーンが抱える課題
地域で異なるコロナ“消費蒸発格差”

 トラベル、イート、イベント、商店街――。新型コロナウイルスの感染拡大により大ダメージを受けた消費を喚起するための政府の四つの「Go Toキャンペーン」には1兆6794億円という巨額の予算が計上されている。

 ただ、第1弾である「Go Toトラベルキャンペーン」は、7月の開始当初から逆風に見舞われた。コロナの感染者数が増加傾向の中での船出とあって、「時期尚早ではないか」という批判が殺到。直前になって東京発着を除外するなど迷走を重ねた。全国各地の観光地の宿泊業者からは、「効果が思うように上がってない」と嘆く声があふれ、観光業のてこ入れ策は不発気味だ。

 これに続く「Go Toイートキャンペーン」は、プレミアム付きの食事券(2割相当の割引)を発行したり、ウェブサイト経由で飲食店を予約した場合に最大1000円分のポイント還元をしたりするというもの。また、「Go Toイベントキャンペーン」は、コンサートや演劇などのチケットを2割引きにし、「Go To商店街キャンペーン」は地域のイベントや宣伝、観光商品開発などを支援する。

 これら残る三つのGo Toキャンペーンも迷走気味だ。もともと経済産業省が一括して事務局を公募するはずだった。ところが、持続化給付金などの業務を電通に再委託していた問題で経産省が“炎上”。Go To事業の民間委託費の上限が3095億円で高額だと批判を浴び、急きょ、国土交通省や農林水産省も巻き込んで事業を3省に分割したことで混乱が加速し、キャンペーン開始が遅れている。

 人の移動を伴う需要喚起策は、「コロナの感染拡大を後押ししている」という批判が常に付きまとう。Go Toキャンペーンを実施したとしても、コロナの感染リスクを恐れる消費者心理から、簡単には手を出しづらい。加えて、旅行先で観光客が嫌がらせに遭う事態は後を絶たず、キャンペーンそのものに眉をひそめる層は一定規模存在する。

 さらにもう一つの根本的な課題は、キャンペーンの恩恵が、人口の多い大都市の近郊に集中しかねないことだ。

 コロナは全国各地の消費を“蒸発”させた。ただその度合いは、地域や産業によって“格差”が生じている。消費格差を見逃したまま需要喚起を行えば、本当に必要な地域に支援が行き届かず、血税の垂れ流しになってしまいかねない。

 消費蒸発が深刻なエリアはどこか。そこでダイヤモンド編集部では約100万人分のデータを基に、ホテルや外食、アパレル、百貨店、自動車など主要9業種について、全国10エリア別の消費インパクトを検証した。