バブル崩壊 不動産withコロナ#12
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政府は2019年末、世界水準の高級ホテルを全国約50カ所に新設するという、財政投融資を活用した仰天プランを披露した。富裕層インバウンドの受け皿とするはずが、やって来たのはコロナ危機。ばら色の大量開業計画が崩壊し始めた。特集『バブル崩壊 不動産withコロナ』(全12回)の最終回では、さらなるホテル危機に迫る。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)

倒産の筆頭はホテル・旅館
訪日客消費は2~8月で2兆円超の減少

 6月2日現在、新型コロナウイルスの影響による倒産は全国で205件に上り、筆頭は「ホテル・旅館」の39件――。帝国データバンクの調査結果は、ホテル倒産ラッシュ時代の到来を伝えていた。

 その背景には、日本の観光業を下支えしていた訪日外国人観光客(インバウンド)が激減し、緊急事態宣言による外出制限で国内観光客も県をまたいだ移動が制限されたことがある。感染拡大防止のため、自粛期間中は臨時休業を余儀なくされたことも追い打ちを掛けた。

 りそな総合研究所が5月27日に出した試算によれば、新型コロナの影響でインバウンド関連消費は2~8月で2兆3642億円減少し、そのうち宿泊業は6799億円に及ぶ。

 自粛要請が続く限り国内旅行の需要回復は限定的で、インバウンドも入国制限されているため「9~10月の時点で前年の50%減にまで戻ると考えるのは、楽観的過ぎる」(同レポート)とし、先行きの見通しの厳しさを示した。

 こう考えると、宿泊業がかつての輝きを取り戻すのは容易ではない。まさにいばらの道だ。頼みの綱の来年の東京オリンピック・パラリンピックもどうなるか分からない。インバウンド需要を相当織り込んでいたホテル開発は「引くも進むも地獄」である。

 政府は2019年末に、日本各地に世界水準の高級ホテルを50カ所ほど新設することをプッシュするプランを打ち出していた。財政投融資を活用するもので、富裕層のインバウンドの受け皿にするもくろみだった。これにより、高級ホテル市場はさらに拡大するという観測が今年2月ごろまでは広がっていたが、これも一転した。