手元流動性は平均2.66カ月
支払い猶予がなければ即窮地に

 財務省のシンクタンクである財務総合政策研究所では、毎年相当数の企業データを集計・分析し、「法人企業統計年報(以下「年報」とする)」として公表している。この年報上でも、企業の規模や業種別で大まかな財務的特徴が確認可能だ。

 信用保証協会の保証対象中小企業者には、根拠法にのっとった業種別の企業規模制限がある[図表5]。年報での企業規模は、資本金階層別に5つに層化されているため、本稿では、全業種の保証対象となる資本金5000万円未満までのデータを活用し、ごく簡単な分析を行う。

 データに含まれる流動資産上の現預金残高と有価証券を合算し、損益表上の(年間)売上高を12等分した月商で除すと、月単位の手元流動性比率が算出可能だ。短期的な支払い能力、言い換えれば即座に支払い可能な資金の保有状況を示す指標となる。

 試算上の全産業総平均は2.66カ月で、複数業種の組み合わせを含む57業種のうち、9業種が2カ月未満だった。さらに、2カ月超3カ月未満の業種も24に及ぶ[図表6]。こうした相対的に期間の短い業種では、顧客離れなどの現象が短期間で収まっても、資金調達や支払い猶予がなければ、早期に資金繰りに窮することとなる。

 9月9日に帝国データバンクより公表された新型コロナウイルス関連倒産は、全国で506件に達し、業種別で最も多くを占める飲食業の倒産は72件と1割超を占める。ホテル・旅館業の53件がそれに続き、さらにアパレル・雑貨小売業の35件が第3位だ。

 今般の「Go To Eatキャンペーン事業」は、こうした飲食業の苦境の下で実施が予定されているが、その平均月商は828万円であり、小売業は1732万円だ。データは2018年時点のため、コロナ禍以前の中小企業の平均的な財務状況を表したものと考える。