コロナ禍という非常事態における上司の言動は、部下からの評価に大きな影響を与えます。これまで頼りがいのあった上司が意外と信頼できないと思ったり、その逆だったり……と、危機的な状況でのコミュニケーションは平時と同じというわけにはいかないようです。そこで、福島県立医科大学の特任准教授であり、プリンシプル職場の心理学研究所の八木亜紀子所長が、「withコロナ」時代の管理職に必要なコミュニケーションのポイントを米国疾病対策センター(CDC)の発信するリスクコミュニケーションを基に解説します。
非常事態における管理職の
コミュニケーション「6つのポイント」
コロナパンデミック以降、各国のリーダーたちの支持率の変化が話題になっています。一般的に危機的状況ではリーダーの支持率は上昇すると言われますが、そうはいかない場合もあるようです。
直接顔を合わせることのないリーダーの映像が、ほんの数分テレビやネットで流れただけで、人々の評価に大きな影響を与えるわけですから、家族より長時間接することもある上司の言動が部下にどれだけのインパクトを与えるかは、推して知るべしでしょう。リアルであれ、リモートであれ、人の上に立つ人たちの一挙手一投足は周囲の注目を集めます。しかも新型コロナウイルスの感染拡大は、当初多くの人が予想していたよりも長期化の様相を呈しています。
では、管理職の中でも現場の社員と身近に接することの多い中間管理職には、こうした危機的な状況下において、どのような言動が求められているのでしょうか。
今回の新型コロナへの対応をきっかけに、最近日本のニュースでも耳にすることが増えた米国疾病対策センター(CDC)は、緊急事態が発生した場合のリスクコミュニケーションに関して6つのポイントを公表しています。