バフェットは1995年の株主総会で、次のように話しています。

 「私たちが求めているのは、投資した資金に対して高いリターンを生み出してくれる会社です。しかも、将来にわたってその状況が続くことが大切です。そのために私が注目するのは、長期的な比較優位性を持っているかどうかです」

 つまり、バフェットが興味を持つ会社は、事業の内容がわかりやすいだけでなく、他社を圧倒するような強みを持っている会社なのです。彼はその会社だけが提供できる強みと呼び、この力を備えた会社は将来の見通しが明るいと考えています。

 反対に、魅力がない事業を「コモディティ(汎用品)」と呼んでいます。商品やサービスに際立った特色がないため、すぐに価格競争におちいってしまう事業のことです。

 バフェットが考える代表的なコモディティ事業として、ガス、小麦、木材などが挙げられています。しかし、コモディティ事業は、国によっても、時代によっても異なるでしょう。たとえば日本では、以前は優れた発明品と評価された自動車やパソコンですら、現在、どの会社も差別化するのに苦労しています。

 比較優位性がある事業とコモディティ事業の違いを理解するために、喫茶店に行ったときのことを思い浮かべてください。あなたが喫茶店に入って、オレンジジュースを頼んだとします。あなたは、ある特定のブランドのオレンジジュースを注文するでしょうか。たいていは「オレンジジュースをください」と頼むのではないでしょうか。そうなると喫茶店の経営者にとっては、同じ品質のオレンジジュースならどのメーカーのものでも構わず、しかも安ければ安いほどいいのです。みんながこう考えると、オレンジジュースは価格競争におちいってしまいます。