中原 労務系の業務はいかがですか?

池田 労務管理は日々当たり前の業務として動いています。さらに個々の社員をケアするために、たとえば関係が上手くいってない社員同士の間に人事が入ることもありますし、問題を抱えた社員に対して上司と連携して解決を図ったりもします。

中原 人材の採用、異動、配置といった事業に対する短期的な役割から、サクセッションプランなど事業継続のための長期的な役割もある。一方で、一人ひとりの社員のケアや労務対応といった日々の細々としたこともされている。事業を俯瞰して見なければならない「鳥の目」と、個々の社員の状況をミクロに見なければならない「虫の目」を上手く使い分けなければならないわけですね。

 事業部人事の仕事をするにあたって、特に身につけておいてほしいスキルはありますか?

池田 中原先生がおっしゃったように、「鳥の目」と「虫の目」を状況に応じて使い分けられるバランス感覚はとても大事だと思います。

 また、事業部門側の上級管理職とやりとりする機会が多く、組織開発の場面では彼らが自覚できていない課題を明らかにして、その解決策を提示することを求められます。そのため、高いコミュニケーションスキルとともに、コーチングのスキルも必要になります。

中原 事業部門のトップも気づいていない課題を引き出すって、かなり高度なことですよね。

池田 そう思います。とはいえ、そこまでできて初めてビジネスパートナーとしての役割を果たしていると言えます。

中原 仕事としてはどの業務の割合がもっとも多いのですか?

池田 実は、そこが悩みどころではありまして…。事業拡大に資するビジネスパートナーとしての役割をもっと追求していきたいという理想はあるんです。しかし現実には、日々の労務管理や異動・配置調整といったオペレーション業務が、仕事のかなりの割合を占めているのが実態です。役職にもよりますが、「6:4」あるいは「7:3」ぐらいの比率でオペレーション系の業務が多くなっています。

中原 ビジネスパートナーや組織開発系の業務は、全体の3~4割程度ということですか?

池田 そうですね。いわゆるプロセスコンサルや人事コンサルとしての動きは十分にできておらず、実際に手を動かして、ばたばたと走りまわったりして、オペレーション業務にたずさわっている割合のほうがまだまだ多いのが現実です。

●池田潤氏(ヤフー株式会社 ピープル・デベロップメント統括本部 ビジネスパートナーPD本部長)×中原淳氏(立教大学教授)対談【後編】は10月9日公開予定です。