欧州でここ10年に増えてきた買収案件には、中国政府が――しばしば背後で――深く絡んでいる。中国勢による2010年以降の欧州での投資案件650件のうちおよそ4割に、中国国有企業もしくは政府が支配する企業が高・中程度に関与しており、それにはハイテク企業も含まれることが、オランダのコンサルティング企業Datennaの新たな調査で明らかになった。同社は中国の何百万もの企業登記データベースを分析した。Datennaによると、欧州のM&A(企業買収・合併)の多くで、何重もの所有権や複雑な株式所有構造、欧州子会社を通じた買収などによって、中国政府の影響が実質的に隠ぺいされていた。こうした中国政府の関与の規模は、対米外国投資委員会(CFIUS)ほど強力で活発なシステムを欧州各国の政府が持っていないことを浮き彫りにしている。CFIUSは国家安全保障を理由に米国内での国際的な買収案件を阻止することができる。欧州には同様のシステムがないため、域内企業が外国による好ましくない影響や重要な技術革新の逸失、先端技術業界の衰退に直面しかねないと欧州当局者は懸念を強めている。
中国政府が操る企業買収、欧州でひそかに増加
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