「相談できないと成長が止まる」
ZOZOテクノロジーズのエンジニア育成

 ZOZOTOWNなどの技術開発・デザイン・分析などの制作業務全般を行うZOZOテクノロジーズも、新入社員は4月から一貫してテレワークで業務を続けている。しかし、現場に配属された新入社員は、すでに戦力として活躍できているという。

 同社ZOZOTOWN部iOSチームのチームリーダー兼テックリードの荒井勇輔さんは、コロナ禍になる前の昨年4月から、新しいメンバーが増加していく中で、コミュニケーション量を増やすべく、さまざまな工夫を行ってきた。

 まず1つ目が「1on1」で、2週間に1回30分、メンバー一人ひとりの要望や悩みを解決する場として設定した。2つ目が、KPT(Keep・Problem・Try)という振り返りのフレームワークを導入した、月1回2時間のチーム全員でのミーティングだ。そして3つ目が、週1回50分のチームでの定例ミーティングだった。

「コロナ禍で全員がフルリモートになったため、使用ツールや頻度などの見直しを行ったが、昨年からの取り組みの下地があるため、コロナによる大きな影響はなかった」と荒井さんは振り返る。

ZOZOテクノロジーズ新入社員の小松悟さん(左)とチームリーダーの荒井勇輔さん(右) 写真提供:ZOZOテクノロジーズ

 荒井さんが最も重要視していたのは、メンバーの心理的安全性を高めることがチームを成長させる、ということだ。

「誰に聞いていいか分からない状態が続くと、成長しなくなってしまう。何よりも相談が大事。新入社員の教育にはメンター制度を導入しており、困ったときにはまずメンターに相談してもらっているが、毎日30分程度のスタンドアップという時間で顔を合わせたり、オンライン飲み会なども実施したりして、メンター以外のチームメンバーに気軽に相談できる環境を作っている」(荒井さん)

 荒井さんの部下である、新入社員の小松悟さんは、これまでもプログラミングなどの経験があったが、我流で学んだ部分もあり、配属されてから相談したい場面が多々あったという。

「相談したいときにはDiscordというツールを使って話しかけるが、最初は緊張したものの、普段のコミュニケーションのおかげで、今では隣の席にいるような感覚で、気軽に相談することができている。また、自分の書いたソースコードについては、メンターとベテランエンジニア2人が手厚くチェックしてツールを使ってレビューしてくれるので、とてもありがたい。自分のコードがなぜ良くなかったか、根拠を示して教えてくれるのでとても勉強になる」(小松さん)