テレワーク,悩み三重県津市にあるビーイングでは、在宅でコールセンター業務を行っている 写真提供:ビーイング

コロナ禍で、究極の3密環境を強いられる職場として注目されたコールセンター。政府が在宅勤務を推奨したとしても、顧客情報管理の問題や十分な顧客対応ができないことなどを理由に、オフィス勤務を継続する企業が少なくない。そうした中、在宅でコールセンター業務を実施しながら、着信した電話にオペレーターが応答できた割合を示す「応答率」を前年よりも向上させた企業があった。(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)

「今、家からなの!?」
顧客から驚かれるオペレーターも

 三重県津市にあるビーイングは、土木工事積算システムなど建設業の業務支援ITCソリューションを中心に提供する企業。同社のコールセンターは、上記のサービスを利用する顧客からの問い合わせに対応しており、一般的なコールセンターに比べて問い合わせにかかる時間が平均35分程度と長く、専門性を要する傾向にある。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、緊急事態宣言が発表された4月7日から在宅勤務をコールセンターにも本格導入。出勤するオペレーターを最大で通常時の4割程度に減らし、現在も5割が在宅勤務をしている。

 そんな同社のコールセンターを束ねるのが、サポート部カスタマーサポート課・大谷まどかマネジャーだ。

ビーイング,オフィスビーイングのオフィスの様子。出勤率を4割~5割程度に下げて業務を行っている 写真提供:ビーイング

 現在、オペレーターは社員として23人おり、機材をすべて持ち帰る関係から3週間から1カ月単位で在宅勤務とオフィス勤務を入れ替える状態に。今はモニター2枚、デスクトップパソコン1台、電話機、希望者はオフィス椅子を自宅に持って帰ることで、オフィスと変わらない環境で、自宅でも仕事ができているのだという。

「在宅勤務を行う話になった時、最初は『家でやるの? できるの?』という不安を持つメンバーも少なくなかった。しかし実際にやってみたら、彼女たちからは『普通にできるね』『通勤がなくなって安心』という声ばかりで、問い合わせのあったお客様からは普段通りの対応に『今、家からなの!?』と驚かれることも多かった」(大谷マネジャー)

 一般社団法人日本コールセンター協会によると、かつてはコスト削減、東日本大震災後は事業継続計画(BCP)、昨今では人材確保の観点でコールセンターの在宅化は検討されてきたが、個人情報を取り扱うために、情報漏洩の懸念が拭えず、なかなか前進しなかった。しかし、コロナ禍でコールセンターが社会インフラとして認識されたことで、BCPや従業員の健康・安全の確保が推進エンジンとなり、在宅への移行はビーイングに限らず、着実に進んでいるという。

 さらにビーイングでは在宅に切り替えてから、よい効果も表れ始めた。着信した電話にオペレーターが応答できた割合を示す「応答率」は前年4月の85%から今年4月は87%へと改善。着信があってから20秒以内に応答する「時間内応答率」も前年4月の80%から84%へと向上したという。

 在宅勤務は今年3月から開始したばかりにもかかわらず、なぜ普段通りに行うことができた上に、応答率の向上にもつながったのか。