アスクル,新人研修今年のアスクルの新入社員は、入社直後からフルリモートで研修を行った 写真提供:アスクル

今年は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、入社初日から即テレワークになった新入社員が少なくなかった。こうした状況下でも、新入社員を育成し戦力にするために、人事担当者や現場の教育担当者はどのような工夫を凝らしてきたのか。フルリモートで新入社員研修を行った2社に、彼らを一人前に育てるためのコツを聞いた。(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)

リモート研修でも自然と力が身に付く
アスクルが行った3つの仕掛け

 オフィス用品から生活消耗品などの通販サービスを運営するアスクルは、4月から6月末まで38名の新入社員をフルリモートで研修した企業のひとつだ。

 同社では3月2週目からリモートでも研修ができるように検討を開始し、翌週には研修での実施内容や方針を決定。3月27日には新入社員全員と対面して、パソコンなどの貸与物の付与とオリエンテーションを行った。そして、4月から6月末まではフルリモートで、6月末から7月下旬までは週1回程度の出社を選択できる状況で研修を継続し、7月末に各部門へ配属が決定した。

 研修は、4月上旬には基本マナー、4月中旬からは会計やコスト意識、5月上旬からは各本部の説明研修を受けて会社を知り、同時に輪読やデザイン思考を身に付けていった。最後に6月以降は、これまでに学んできた会計やデザイン思考、社内知識を結び付けて、変化の時代にアスクルができることを探るフィールドワーク研修を行った。

 通常、これらの研修は対面式で行われるものだが、今年は前代未聞のフルリモートだ。こうした中で、同社人事総務本部で新入社員教育や育成担当者フォローを行う多田双葉さんは、リモート特有の課題を解決すべく、人事部のフォロー体制を整えたり、研修に工夫を加えたりしたという。

 まず1つ目が、コミュニケーション不安を解消すべく、人事部が1カ月間、毎日15分~20分程度の「1on1ミーティング」を実施したことだ。人事部のメンバーを中心とした13人で新入社員と面談を行い、週1回は全員でミーティングをして、情報共有などを行った。

 新入社員の肥田あかねさんは、「上京したばかりのうえに人見知りで、そんな中でテレワークになって不安だった。そうした中で、面談で話した管理職もフレンドリーに話をしてくれて、とても安心できた」と振り返る。