そのほか、テレワーク下での課題といえば、他部署との連携だ。普段顔を合わせていない他部署の人に相談を持ち掛けるのは、なかなか対面でも緊張するもので、新入社員ならなおさらだろう。

 荒井さんはそんな小松さんの不安を払拭しようと、チーム外の社員とのコミュニケーションを取る際は、必ず最初はメンターを入れて3人でミーティングをするように促した。

「相手の性格が分からなかったり、感情が読めなかったりすることもあるので、いきなり他チームの社員と話すのも緊張したが、メンターがサポートしてくれるので、安心して話すことができた」(小松さん)

 昨年からの工夫が功を奏し、現在もコミュニケーションは順調に見えるが、荒井さんは「雑談が足りない」と不安に感じているという。

「雑談が足りないということは、相談のハードルが上がっている。もっと雑談を増やしていこうとメンバーには促しているが、推進できるように工夫していきたい」(荒井さん)

新入社員の能力を引き出すカギは
「安心感」と「信頼感」

 新入社員の教育に詳しいリクルートマネジメントソリューションズの桑原正義・主任研究員が「上司や先輩が新入社員の能力を最大限引き出すためのキーワードは、『安心感』と『信頼感』」と語るように、彼らを温かく受け入れる受信型のコミュニケーションが重要になっている。

 特に、入社後即テレワークであれば、新入社員の不安は強かっただろう。そんなときに、1on1などを通じて話をじっくり聴くこと、また同期や先輩、他部署との連携を自然な形で作ることは、彼らに安心感や信頼感を与えることにつながった。望ましいやり方は企業によって異なるだろうが、現在、新入社員の育成に悩んでいる人事担当者、管理職や教育担当者は、彼らを戦力化するためにも「安心感」「信頼感」を意識して、教育プログラムを考えてほしい。