経営破綻した老舗百貨店のセールに集まる市民
経営破綻した老舗百貨店のセールに集まる米国市民。雇用情勢の悪化は、大統領選の行方に少なからぬ影響を及ぼす可能性がある(写真はイメージです) Photo:123RF

10月3日に発表された2020年9月の米国雇用統計は、5月から回復が続いているものの、そのペースに減速感が強まっていることが確認された。新型コロナの感染拡大懸念が燻る中、当面は雇用環境の改善は緩慢に留まる見込みだ。また、トランプ大統領の新型コロナ感染など、混迷が深まる米大統領選が1ヵ月後に迫る中、接戦州において雇用環境の悪化が支持率較差に影響している可能性がある。大統領選までは最高裁人事などの政治問題だけでなく、雇用環境の変化も結果に影響するだろう。(伊藤忠総研 主任研究員 笠原滝平)

コロナ禍からの回復は踊り場に?
減速感が強まる9月の米雇用統計

 2020年9月の米国雇用統計では、最も注目される非農業部門雇用者数が前月差+66万人増加した。コロナショックの影響で2000万人超減少した雇用者数は、5月以降回復基調にある。

 しかし、増勢は5月+273万人、6月+478万人、7月+176万人、8月+149万人と減速傾向にあり、特に9月の減速は顕著である。コロナ前(2月)の約1割減の水準で、停滞感が強まっていると言えるだろう。

 業種別には、住宅需要、自動車販売などの持ち直しを映じて建設業や製造業の回復ペースが加速した。他方、多くの雇用者を抱える民間サービス部門は、小売業の減速や教育関連の減少によって増勢が鈍化した。また、6月以降増加が続いた政府部門は前月差▲22万人の減少に転じた。

 国政調査のため調査員の採用が増えた8月の反動が出たほか、民間部門でも減少した教育関連の雇用は地方政府においても減少に転じた。9月から一部地域で学校が再開されたが、オンライン授業の採用など教育体制の変化の影響を受けたものとみられる。