企業側と学生自身の認識に介在するギャップ
凸版印刷の今回のインターンシップをつかさどった、同社・人事労政本部・藤﨑実生さんは、障がいのある学生2人を受け入れ、研修を行ったことの“気づき”をこう語る。
「配慮を希望する障がい特性については事前に書面でうかがっていましたが、その情報以上に、参加された方々には働く能力が十分にありました。それでも、おふたりとも『自分は働けないかもしれない』と不安に思っていたようで、企業と本人の認識にはギャップがあるのだと気づきました」
実際、エクセルソフト(Microsoft Excel)を使った業務においても、大きな支障はなかった。もちろん、障がいの程度や特性における個人差、同じ学生でもそのときどきの体調での違いはあるが、障がい特性を把握した企業側がしかるべき業務を個々人に割り振ることで従業員の能力は最大限に発揮されるのだろう。
研修机を並べた学生2人にインターンシップの感想を尋ねると、「参加する前は何ができるかが分からなかったが、プログラムを経て、仕事(凸版印刷)への理解が深まった」「最初は『できるかな?』という不安が強かったものの、自分の長所や欠点が分かって、(参加したことが)プラスになった」という前向きな声が返ってきた。
ACEと会員企業によるインターンシップのメリット
また、ACEと会員企業によるインターンシップのメリットとして、ACE事務局にエントリーすることで、応募意思に応じていろいろな企業の仕事を経験できることを参加学生は実感したようだ。
凸版印刷での研修最終日には、「職場体験のまとめ」と題したリポートをパワーポイント(Microsoft PowerPoint)で作成し、研修を行った職場で発表して好評を得た。
綿密なスケジュールと充実したプログラムで問題なく終了した同社のインターンシップだが、藤﨑さんは早くも次年度に視線を向けている。
「障がいのある学生は障がい者雇用に対してマイナスのイメージを持っていたり、私たちが考えている以上に“進路の選択肢”やその先の“働き方“について不安を持っていることを改めて感じました。次回は、もっと一緒に話し合いながら情報提供のできる時間を設けたいです」