先の見えないVUCAの時代において勝ち残る営業組織を作るには、確立されたやり方を踏襲するだけでなく、新たな創意・工夫を生み出す「自律・共創型」の組織づくりが必要だと前回記事(「『上司=正解』の時代は終わった!強い営業組織に必要な8つの条件」)で解説した。では、そのためには、マネジメント方法をどう変化させればいいのか。前回に引き続き、リクルートマネジメントソリューションズの的場正人エグゼクティブコンサルタントに新しい営業マネジメント術について話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)
ビジネス推進は
「過去の踏襲」から「新しい価値の創造」へ
これからの時代に適応したマネジメントの方向性を、「ビジネス推進」「組織運営」「メンバー育成」の3つ観点から説明します。いずれも正解がないテーマに対し、個が自律して創意・工夫し、組織でアイデアを共有し、磨き合いながら、価値を創造していくことを重視したマネジメントになります。
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まず、ビジネス推進に求められることは、「ミッションマネジメント」と「チェンジマネジメント」を両立することです。進めながら磨いていくアジャイル推進のようなイメージです。
安定成長のマーケットでは、ミドルマネジメントの役割は与えられた目標をメンバーに配分し、確立されたやり方を踏襲し、数値目標を達成するという目標達成マネジメントで十分でした。
それに対して、VUCAのマーケットでは、盲目的に数字達成だけを追い求めるのではなく、チームとして何を目指すのか、限られた時間やリソースをどこに集中させるのかなど、戦略や方針(ミッション)そのものを再考し、チーム一丸となって創意・工夫を集中させる「的」を合意することが大切になります。そのミッションの実現に向けて、チーム一丸となって創意・工夫し、決めたことをやりきり成果を創出するのがミッションマネジメントです。
例えば、「アフターフォローフェーズで顧客のサービス活用率を高め、効果を証明することで、リピート率を○○%向上させる」というミッションを掲げたとします。当然、初めての挑戦は成功が保証されているわけではありません。それに対して組織一丸となってやりきり、何を行うことが活用率UPにつながるのかというナレッジを次々と生み出し、成果を証明することができるかどうかがミッションマネジメントに必要な組織力です。