新型コロナウイルスのみならず、少子高齢化やITテクノロジーの進化など、先の見えない環境変化に直面し、営業組織のマネジメントは、かつてないほど困難な時代を迎えている。では、こうした先の見えない時代に適応するために、どんな改革が必要なのか。リクルートマネジメントソリューションズの的場正人エグゼクティブコンサルタントに、環境変化に適応できる営業組織の条件を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)
「営業は売るだけ」の時代は終焉
顧客の要望を聞いて進化する
――新型コロナの影響はもちろんのこと、近年の営業組織を取り巻くビジネス環境はどう変化していますか?
新型コロナが感染拡大する前からVUCA(「Volatility〈変動性〉、Uncertainty〈不確実性)〉、Complexity〈複雑性〉、Ambiguity〈曖昧性〉」の頭文字をとって作られた言葉)と呼ばれる先の見えない時代になり、過去の成功モデルや勝ちパターンが通用しなくなっています。
例えば、クラウド型のITサービス企業では、営業は商品を売って終わりではなく、顧客が商品を使い続けることで生産性の向上、アポ獲得率、労働時間、経費削減などの成果を数字で証明できるかどうかが問われるようになりました。
また、かつては開発が良い商品を作って、営業が売るという分業でしたが、こうした変化によって、顧客の要望に向かって商品を全員で磨くことが重要になっています。開発と営業が連動している会社は、その変革に適応できますが、分断している会社はマーケットから取り残されていくことでしょう。
――こうした変化によって、営業プロセスはどう変化していますか?
営業プロセスは、商談探索フェーズ、商談フェーズ、アフターフォローフェーズの3ステップに分けることができます。
まず、顧客を発掘する「探索フェーズ」についてです。アナログ時代の見込み客発掘は、どれだけたくさん電話をかけるか、訪問するかという顧客接点の量が勝敗を決してきました。しかし、ネットでの買い物が当たり前になり、購買プロセスがデジタル化した今では、多くの顧客は何らかの検索をネット上で行います。このサインを見逃さずに、顧客のデジタル化した購買プロセスに寄り添った対応ができるかどうかが、勝負になってきています。