採用時の経歴詐称を防ぐためのポイント
Aの処遇は?

 「わかりました。ところで採用時に応募者の経歴詐称を防ぐために気を付けることはありますか?」

 質問に対してE社労士は下記の助言を行い、C社長は納得した。

<社員の採用時に経歴詐称を防ぐためのポイント>
(1)経歴を証明する書類等を提出してもらうこと。
  …(例)卒業証明書、募集職種において資格保有が条件の場合資格を証明する書類等
(2)面接時のヒアリング内容の工夫
  …履歴書、職務経歴書の記載内容を確認するため深く掘り下げたヒアリングを行う。また、面接の手順、質問の内容等に関するマニュアルを作成し運用する。
(3)中途採用の場合、必要であれば応募者に了承を得て、前職の上司・同僚・部下等の第三者から情報取得を行う。

「このアドバイスを参考に改革を進めます。詳しいことはまた後日相談に乗ってください」

 その後、C社長は、B課長とAの処遇について検討した結果、懲戒処分にはせず不問に付すことにした。また、採用の際面接に立ち会った部長にはC社長から事情を説明、Aの処遇決定につき了承を得た。決定の翌日、C社長はAを呼び、B課長から学歴詐称に関する報告を受けたこと、その件に関してB課長との話し合いの結果、懲戒処分を行わないことを伝えた。C社長の言葉にAは、

「社長、ありがとうございました。これからますます仕事をがんばります」

 と言い深々と頭を下げた。

 社長室を後にしたAは、B課長にも改めて謝罪と処分がなかったことへの感謝の言葉を述べ、頭を下げた。B課長はAの肩をポンとたたき、

「A君!これから一緒に乙社に乗り込んでクロージングをかけるぞ!さあ!急いで支度して!」

 と威勢良く叫んだ。

※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため社名や個人名は全て仮名とし、一部に脚色を施しています。