電機・自動車の解毒#04Photo:Ivcandy/gettyimages, REUTERS/AFLO

新型コロナウイルスの世界的まん延により、米中対立の激化はさらに深刻化している。そんな中、地政学リスクに翻弄されにくい日立製作所の絶妙な事業構成が注目を集めている。特集『電機・自動車の解毒』(全17回)の#04では、二大強国の虎の尾を踏むことなく、米中で稼ぐモデルを構築した中国責任者にインタビューを敢行した。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

中国の景気対策は「31兆円規模」
コロナ後に生まれる日立の商機

 日立製作所にとって米国と中国は、共に年間1兆円を売り上げる最重要の海外市場だ。しかし、新型コロナウイルスの影響で、主力の自動車機器などハードウエアの事業は苦境に立たされている。

 そうした中、日立はビッグデータを解析して社会インフラを効率化するデジタル事業によって危機を乗り切ろうとしている。

 社会インフラやデータなど国家機密に関わる事業を他国で行うには特段の配慮を求められる。日立がデジタル事業を成長の軸に据えられるのは、政治リスクを極小化する事業ポートフォリオと顧客基盤を築いてきたからに他ならない。

 それでも、この「境地」に至るまでには多大な犠牲と苦労があった。