終わりの見えない米中貿易戦争の中で、日本企業はどう立ち振る舞うべきなのか。特集『企業直撃 新・地政学リスク』(全14回)の#4では、安倍晋三前首相の肝いりで創設された国家安全保障局の初代局長、谷内正太郎氏が、外交のプロの目線で新・地政学リスクへの処世術を提言する。(聞き手/ダイヤモンド編集部 杉本りうこ、堀内 亮)
トランプでもバイデンでも
米中対決は厳しくなる
――安全保障や外交の問題が、企業の経済活動にまで染み出してきています。日本企業にとっては、米中双方から踏み絵を踏まされるような局面が懸念されます。
まさにそういう状況です。そして米国は、米中対立を非常に厳しく捉えています。これからも、いろいろな手を打ってくるでしょう。
米国国内では、基本的には対中強硬策を支持する雰囲気が強いです。これは共和党、民主党を問わず、かなり根が深い。議会はもちろん、国民の間の対中感情も厳しい。ですから仮にバイデン氏が大統領になったとしても、中国に対する基本的なトーンは変わらない。
加えて、トップ指導者というのは、前政権との違いを出したくなるもの。貿易や投資、サイバーセキュリティーといった分野で、前政権がやっていない新しい政策を打ち出す可能性は十分あります。