コロナ後の都市のあり方からも都構想は正しいのではないか?

 以上のように、地方自治の観点からは都構想を実現させた方が良いという結論になるのですが、私は、別の観点からも都構想を実現させるメリットは大きいのではないかと思っています。

 というのは、コロナ禍によって今後は、人の価値観が大きく変わる可能性があるからです。コロナによって多くの人が、自分の生死に関わるレベルでの健康の心配をするという、人生で初の体験をしました。また、在宅勤務や遠隔勤務により、これまで会社人間だった多くの人が家族の重要性、地域のコミュニティや連帯の重要性を実感したはずです。

 そうした経験をすると、当然ながら人はこれまでよりも環境問題や社会問題を重視するようになるはずです。従って、コロナ後の都市や街のあり方でもこうした観点がすごく重要になるはずです。

 しかし、地域ごとに特色や問題の所在が異なる270万都市の大阪市を1人の市長が担う今の体制では、環境問題や社会問題にきめ細やかに配慮した都市づくりや街づくりが出来るはずありません。やはり、東京23区のように60万~70万人レベルで地域を分け、選挙で選ばれた区長がその地域を担う方が、地域住民にとって望ましい環境や地域の連帯を実現できるのではないでしょうか。

 いずれにしても、ネット上を飛び交う都構想への反対論は行政サービスや制度の細部の議論ばかりで、ここで書いてきたような大枠での議論が欠如しているように見受けられます。はっきり言えば、それらの主張は反対のための反対ばかりのように見えてしまいます。

 反対派の人たちはそれで大阪市民の不安を煽りたいのでしょうが、大阪市民の皆さんには、11月1日にぜひ、大枠の議論を踏まえてよく考えた末の冷静な投票をしていただきたいと切に期待します。

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)