「いい人」かどうかというのは、自分ではなく、他人からの基準だ Photo:PIXTA

「人生100年時代」という言葉が根付き、生涯現役が謳われている昨今。『島耕作』シリーズや『黄昏流星群』など数々のヒット作を生み出した漫画家・弘兼憲史氏も、70代の現在が人生で一番楽しいと感じているといいます。とはいえ、実際は体力的にも精神的にも制約が出てくる人生後半戦を、どうすれば楽しく過ごせるようになるのでしょうか。そこで前回に続き今回は、弘兼氏の最新エッセイ『弘兼流 やめる!生き方』(青春出版社)から、人生後半戦を楽しく過ごすための生き方を紹介します。

「いい人」と「魅力がある人」の違いとは

 前回は、自分の親や妻に対して「いい人」でい続ける必要はないというお話をしました。では、会社の人間関係ではどうでしょうか。

「課長 島耕作」に登場した中沢部長は、「理想の上司像」なんていうランキングでトップになったこともありました。部下が失敗した時には責任をとる、自分の部下は守る、何があっても動じない器の大きさを持っている、常に前向きな姿勢、それでいてクールな判断を下す経営能力まで兼ね備えているのですから、完璧な上司と言えるかもしれませんね。だからこそ、社長まで上り詰めるわけです。

 しかし、僕は彼を完璧な上司であり有能なビジネスマンとして描いていても、完璧な人間としては描いていません。あえて読者が想像する糊代を残し、家庭のことは描かなかったのですが、ホステスとの間に生まれた息子が登場し、最期も愛人宅が舞台です。漫画の世界ですから、幸せな家庭と仕事を両立させるような完璧人間を描くことだってできるのですが、それでは人間的な魅力に欠けるんですね。