「この実力では歌手になれないです」

要素2:「誰に伝えるか」

 2つ目の要素は、「誰に伝えるか」。J.Y. Park氏は、参加者のレベルや課題に合わせてフィードバックの内容や要求するレベルを変えている。もちろん最終的には、デビューするに足る実力まで高める必要はあるが、それでも求めるレベルに無理やり相手を当てはめるのではなく、今の相手にとって最大限期待できるレベルに合わせて、その時点で必要なことを伝えている姿が印象的だ。

J.Y. Park氏「なぜ、ダンスブレイクの前で止めたか分かりますか?」

アヤカ「あまり見たくなかったからだと思います」

J.Y. Park氏「ダンスブレイクで下手さが目立ってしまいそうで心配になって。アヤカさんはダンスが苦手です。でも、僕がなぜ笑っているか分かりますか?」

アヤカ「分からないです」

J.Y. Park氏「この前に比べると、かなりうまくなっていたからです。みなさん(アヤカさんは)本当にうまくなりました。アヤカさんはダンスを踊っても歌を歌っても、アヤカさんそのままです。いいことです。自然体の魅力が本当に人をひきつけます。でも、この実力では歌手になれないです。ほかの人の何倍も頑張らないといけないです。頑張れますよね?」

 フィードバックを伝える相手が、前と比べてどう成長したのか。一人ひとりの様子を観察していなければ、このようなフィードバックはできないだろう。何が成長し、一方で何が足りないのか。伝える相手に合わせたフィードバックを、私たちはできているだろうか。