雇用シェアリングの仕組みとは?

カタリーナ 「コロナの影響で、一時的に雇用過剰になった企業もあれば、人手不足に陥っている企業もあるわ。たとえば、インバウンドで潤っていた観光バス業界は、運転手たちが雇用過剰になっている。一方で、感染症によって衛生資材の輸送やDIY関連商品の出荷が増加し、トラック運転手や倉庫関連の人材が不足している。こういった企業がお互いに協力し合えば、とってもいいと思わない?」

武藤 「なるほど。でも、どうやって?」

カタリーナ 「送り出したい企業と受け入れたい企業で、在籍出向制度を利用するのよ。在籍出向なら、社員を雇用したまま、一時的に他社で働いてもらうことができるわ」

武藤 「そうは言っても、都合よく受け入れ先の企業が見つかるものかね?」

カタリーナ 「それが、双方の企業をマッチングするサービスがあるの。『産業雇用安定センター』では、希望を聞いて無料でマッチングも行っていて、送出人材が異業種でうまく働けるように必要なスキルの委託訓練なども行っているわ」

武藤 「ほほう、そんなサービスがあるとは。でもねぇ、人件費だってかかるだろうし……」

カタリーナ 「この『雇用シェア』を利用して、出向元が出向社員の給与の一部を負担する場合、助成金も利用できるの。最長1年間で、中小企業なら3分の2、大企業なら2分の1の助成率よ。細かい点は、出向元・先で協議して決めればいいわ」

武藤 「それは悪くない話だ」

カタリーナ 「雇用調整を目的とする出向だけれど、別の職場環境で、新たな能力開発ができるチャンスだと前向きにとらえてみたらどうかしら。社員には丁寧に説明することが大切ね。もちろん、出向後はまた会社に戻って働いてもらう予定であることが前提よ。片道切符じゃないわ」

武藤 「そういう手もあるとは」

助成金の対象となる条件

カタリーナ 「アメリカでは、ホテル大手のヒルトングループがアマゾンや物流大手のフェデックスなどに人材あっせんで提携する動きが早くからあったわね。中国やドイツなど、コロナの難局を乗り切るために世界で雇用シェアが利用されているわ」

武藤 「なるほど。困っている者同士で融通し合うってことか……」