「身を切る改革」を掲げ、知事給与を半減させてきた小池百合子東京都知事が、1期目の退職金約3500万円を満額受け取っていた。退職金については公約では触れていなかったが、改革の対象外なのだろうか。小池知事の説明が待たれるところだ。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
知事就任直後に給与を半減
自民・公明分裂の契機に
小池百合子東京都知事を取り囲む群衆が緑色に染まったのは、2016年7月の都知事選挙だった。支持者は「小池グリーン」を象徴する緑色の帽子や衣服を身に着け、それらがない場合は、キュウリやピーマンを手に演説会場に駆け付けたケースもあったという。
「崖から飛び降りる覚悟」と決意を語って出馬表明した都知事選で小池知事は、自民党などが推薦し、岩手県知事や総務大臣を歴任した増田寛也氏(現日本郵政社長)らを破って当選した。
当時「身を切る改革」として掲げた公約が、知事給与の削減だ。16年9月の定例都議会で、174万円だった月給を半減させる条例案を提出し、可決された。これにより、月給は87万円となり、朝日新聞の同年9月8日付朝刊によると、当時の全国都道府県知事の中で最低額となった。夏と冬のボーナスを合わせると、年収は1448万円だ。
その結果、都議会議員の年間の議員報酬である1708万円を下回ったため、波紋を呼んだ。結果的に、当時都議会の最大会派だった自民党が引き下げに難色を示したため、引き下げを求める公明党会派が反発して自民党との連携を解消、小池氏側に付いたことが当時大きく報じられた。