かねて「自由市場」を標榜(ひょうぼう)してきた欧米諸国がここにきて、アジアのライバル諸国に倣い、経済活動への政府介入を強めつつある。巨大な国家支援を受けた中国をはじめとするアジア諸国と競争しつつ、生活水準を維持し、先端の技術力を維持することができるのか。国家支配への抵抗が薄れている背景には、欧米でこうした強い不安が広がっていることがある。そこに拍車をかけたのが新型コロナウイルスの大流行だ。コロナ禍は官民のバランスの再考を促しており、欧米では大型刺激策の導入を通じて経済構造を再構築する新たな構想も浮上している。巨大な輸出圏として長らく自由貿易主義を旗印としてきた欧州連合(EU)では、首脳らが前月、競合する外国勢への障害導入、中核テクノロジーの生産回帰、医療など重要産業における域外国への依存度引き下げ、欧州を代表するデジタル大手の育成などを目指す考えを表明した。
国家介入経済に向かう欧米諸国、アジア方式に追従
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