課員とB課長、双方の言い分は…

 C社長は同意した。そしてA係長の話を聞き終えたC社長は、翌日B課長を含む課員全員から事情を聞き、3日後再び甲社を訪ねてきたD社労士に対して、その内容を説明した。

<課員への聞き取り調査の結果>
(1)B課長が第1営業課に配属されてから、コロナの影響に関係なく売り上げのノルマが大幅に上がり、自爆営業が行われるまで課員の中で毎月のノルマを達成した者はいなかった。
(2)B課長が部下に提示していたノルマは、会社方針ではなくB課長が独自に設定したものであった。
(3)B課長は、毎日の朝礼時に「絶対にノルマを達成するように!」と課員たちに激しい檄を飛ばし、名指しで叱責することも多かった。
(4)B課長はA係長に対して毎日就業時間後に居残りをさせ、最低1時間以上激しい叱責を繰り返し、あからさまに自爆営業を強要していた。
(5)他の課員に対しては週1回の面接指導のみで自爆営業の勧誘まではなかったが、ノルマ未達成の責任を厳しく追及され、さらに査定で大幅に給料が下がるとの説明を受けたため、自ら商品を買ってノルマを達成した課員が数人いた。
<B課長の主張>
(1)ノルマの設定が独自であったことは認めたが、コロナ不況にあえぐ会社のためを考えて設定した。
(2)部下への激しい叱責等は少々行き過ぎたところはあったが、指導の一環として行った。特にA係長は立場的に他の課員たちのお手本になることが求められるので、本人の自覚を促すためにより厳しく接した。
(3)A係長への自爆営業の強制は「単なるシャレ」のつもりで、まさか本当に行っているとは思わなかった。また、他の課員が自己で商品を買い取りノルマを達成していたことは知らなかった(売上伝票を顧客名で作成していたためB課長は自爆営業の事実を把握できなかったと主張)。