営業は顧客から好かれなければ、ビジネスにならない

 ビジネスは相手があって初めて成り立つ。こちらから何らかの財・サービスを通じて価値を顧客に提供し、それに見合った対価をいただくことでビジネスが成り立つ。だからそもそも、「営業が顧客を開拓し、訪問し、商談を成立させるビジネスモデル」の場合は、どのようなスキルにも先んじて、私たち営業が顧客から好かれなければ、ビジネスになり得ないのだ。繰り返すが、ビジネス・商談にならなければ、スキルを使う場面がないのである。

 私たち営業が顧客から好かれるために重要なのが、「人を見る」ことだ。ほとんどの営業は競合他社や競合品がある中で、激しい競争を繰り広げているはずだ。自社製品がずば抜けて革新的な製品で競合品よりも明らかに優れているなら、営業が顧客から嫌われても自社製品は売れるだろう。だが多くの場合はそうではなく、差別化が難しい製品で結果を出さなければならない。

 そのようなとき、顧客は自分と競合のどちらの方が好きかの差によって、その後のビジネスの展開や得られる結果に差が出ることがある。顧客や見込み客に好かれ、商談の時間をもらえるからこそ、さまざまなスキルを駆使するチャンスに恵まれ、結果が出るのだ。

 かつて、私の同僚で、ほぼ全ての同僚から嫌われているにもかかわらず、顧客からの評価が高くて結果を出し続けている営業がいた。扱っていた製品は、競合品と同程度の評価だったものの、その営業は顧客との距離の取り方や顧客が置かれている状況を踏まえ、クロージングをするときとしないときがあり、顧客との距離をうまく取っていた。その結果、その営業は毎期予算を達成していた。

 本人の昇進昇給の観点では社内での評価も大事なのだが、営業としての実績は別の話だ。ビジネスの評価者は顧客だ。顧客がその営業を好むかどうかで結果が変わってくることもある。顧客が評価している営業は、売り上げを上げてくる。もちろん顧客および見込み客の予算やビジネスの状況等が複雑に絡むこともあるから、単純に最も好かれる営業が最も結果を出せるとは限らない。製品のクオリティーや評価も関わる。

 しかし、逆説的に言えば、最も嫌われている営業が最も結果を出すということは、極めてレアケースだ。私たち営業は、顧客には好かれておくことに越したことはない。