ニュースに接するのが辛かった
米国の「4年間」がようやく終わる?
11月3日に行われた米国大統領選挙の結果は、バイデン候補の勝利で決着しそうである。トランプ現大統領はいまだ敗北を認めていないけれども、おそらく2021年1月、バイデン新政権が発足するであろう。
2017年1月、トランプ政権が発足すると共に、ホワイトハウスのウェブサイトから、障害者政策に関するコンテンツが姿を消した。同時に、それまで英語とスペイン語で提供されていたコンテンツのうち、スペイン語コンテンツが姿を消した。
筆者は、障害者の参加を促進してきた米国の団体のSNSページで「これまでの数十年もの活動の成果が、こんなに簡単に消されてしまうのか」と悲嘆した。しかしすぐ、メンバーの1人である女性研究者・エリカさんが、「ヨシコ、気が早すぎるよ。そうなるかどうかは、私たちにかかっているのだから」と筆者をたしなめた。
筆者の知る限り、生活困窮者や障害者の人権に関する活動を行っている支援団体や当事者団体、さらにそれらの社会課題を専門とする独立系メディアは、トランプ政権の政策が具体的な形を取り始める前から、今後への対策を講じ始めていた。
とはいえ、それらの団体やメディアの情報に接するとき、筆者は徐々に、勇気を奮い起こす必要に迫られるようになっていた。覚悟して内容を読むと、しばしば落胆と絶望感に襲われた。たいていは、もともと生きづらい状況に置かれている人々の生きづらさが増す内容だったからだ。
むろん、暗黒面ばかりではなかった。たとえばトランプ政権下での雇用状況は、経済状況に連動する形で好転している。しかし、生存や生活が支えられていない人々が、好転した雇用まで到達することは困難だった。