いよいよ投票日が数日後に迫った米大統領選。その大激戦地の1つが中西部のミシガン州だ。4年前、トランプ氏はこの州において僅差でヒラリー・クリントン氏に勝利し、大統領当選に王手をかけた。今回、ミシガンを制することができるのはトランプ氏か、バイデン氏か。現地の住民たちのそれぞれの本音を取材した。(本文敬称略、取材・文/ジャーナリスト 長野美穂)
「トランプの勝利を確信」
選挙人の1人が明かす支持者動向
「今夜のディベートを見て安心した。バイデンがこの国の石油産業をシャットダウンすると言った瞬間、トランプの勝利を確信したよ。石油会社や業界の労働者たちが黙っちゃいないはずだからね」
10月22日の夜、トランプ大統領とジョー・バイデン元副大統領の2回目のディベートの模様を届けるテレビ放送が終わった瞬間、こんなテキストメッセージが届いた。
ミシガン州北部のシャロボイに住む79歳の男性、ジョン・ハガードからだった。彼は地元で配管サービスの会社を経営するビジネス・オーナーで、ミシガン州共和党の16人の「選挙人団」(elctoral college) の1人でもある。
もしトランプ大統領が勝てば、「勝者全取り」ルールのもと、州都ランシングの州議会で共和党候補のトランプに正式に1票を投じる選挙人、それが彼なのだ。
ハガードは、子どもの頃から銃の腕を磨いてきた筋金入りのハンターでもある。大統領選のディベートを見るために夜更かししたが、明朝は2泊3日で仲間と一緒に森に熊狩りに出かける予定だという。
「トランプの企業向け減税のお陰で、うちの会社の経営はここのところ好調だ。余剰金で社員たちの給料を値上げできた」と彼は言う。
配管工はエッセンシャル・ワーカーであり、コロナ禍の中でも配管工事の需要は変わらずにある。「忙しくて、むしろあと何人か人を雇いたいくらいだ。ありがたいことに、暖房設置工事や家の水回りの工事の注文が来年の春まで入っているよ」