地元の政財界に人脈が広く、16年には各界の名士が出席して勤続50年を祝うパーティーも開催されたという。

 同社は17年に元社員の不審な行動について外部から情報提供があり調査したが、元社員や顧客が事実関係を否定したため、問題を見抜けず調査を終了していた。結果として、被害はその後も続いてしまった。

 今年6月、顧客から情報提供があり、7月に問題が発覚。山口県警は8月、同社からの告発を受理し、詐欺容疑で捜査している。

社会通念上、顧客への弁済は不可避

 それでは、詐取された現金は取り返すことが可能なのだろうか。

 第一生命は「個別の事情に応じて、被害金の一部」を弁済したとしているが、一部が幾らなのかは明らかにしていない。また「今後、全額を弁済する」というような方針も示していない。

 この問題を巡っては、元社員に現金を詐取されたとして顧客2人が、寄託金の返還と損害賠償を求める民事訴訟を山口地裁周南支部に起こしている。

 訴えによると、1人は、元社員から母親の死亡保険金について「トップセールスマンの特別枠があり、高利で預かることができる」と持ち掛けられ、昨年3月に利息を年500万円として5000万円を預けたが、利息が支払われないとして返還を求めている。

 もう1人は今年3月、元社員から「得意先1人だけに高利をつけられる。あなたを推薦したい」などと誘われ、支店長らが同席して借用証書を作成。1000万円を元社員名義の口座に入金したとして、同社と元社員に賠償を求めている。

 訴訟になったということは、元社員には返済する資金はなく、手元はスッカラカンと見て間違いないだろう。

 では、被害者は泣き寝入りかというと、社会通念上「会社としてあずかり知らぬ個人の犯罪」で済ますのは無理があるのではないだろうか。