いかなるときも
「個人的な感情」を横に置く
私の前職での失敗、その原因は「感情」でした。
感情は、マネジメントを邪魔します。
先ほど、マネジメントは国語ではなく数学だと言いましたが、数学の問題を感情的に解く人はいません。
「1+1=2、だけれど、3が好きだから、解答は3だ」などと言う人はいません。
公式に当てはめていけばいいだけです。
マネジメントで、同一の「公式」を全員が理解しておかないと、どういうことが起こるでしょうか。
「1と1を足したら、どうなるんでしたっけ?」
「1+1=10、っていう人もいるし、私は2だと思っていたけど、別の人は、1+1=1だと思っているらしい」
このように、公式が曖昧な組織では、それぞれ独自の考えの答え合わせが頻繁に起こります。コミュニケーションによるすり合わせばかりして、各自の仕事が遅れるのです。
しかし、こういう話をすると必ず、「非人間的だ」「なんか冷たくてイヤだ」と言われます。
「感情を横に置く」という言葉そのものが感情を揺さぶってしまうのです。
ただ、こう考えてみてください。
国語的な、一見「人間的」なマネジメントをしたとしましょう。
それにより、成果が出ずに雇用が維持できなくなったらどうでしょう。部下たちはスキルが身につかず、他の仕事や会社で通用しなくなったらどうでしょう。
そのほうがよっぽど「非人間的で冷たい」のではないでしょうか。
そこで必要になってくるのが、感情を脇に置き、「リーダーの仮面」をかぶるという方法です。
別に、「無感情なロボットのようになれ」と言っているわけではありません。仮面をかぶることは、「ただ冷たく厳しくしろ」という意味ではないのです。
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)を経て、ジェイコム株式会社にて取締役営業副本部長を歴任。
2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。
2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。
人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2020年10月現在、約1900社の導入実績がある。
主な著書に『リーダーの仮面』(ダイヤモンド社)などがある。