上司や親としての威厳を傷つけられることを恐れているから、間違いを認めたくないのです。「なめられてたまるか」という気持ちがあります。

 でもこの心理は、裏返せば自信がないということです。

 ぐんぐん力を伸ばしている部下、社内の評価が高い部下に対して、自分の地位が脅かされると感じる上司ほどこういった態度を取ってしまいます。リーダーシップに自信のない上司もそうでしょう。

 親の場合でも、ふだんから子どもと接する機会が少なくて、家庭内での影が薄いと感じている親ほどこういう態度を取ってしまいます。

 子どもになめられてしまったら、親としての権威は失墜すると思っているからです。

ほんとうに偉い人は
自分の間違いを素直に認める

 では、自分の間違いをあっさりと認めることができるのはどんな人でしょうか。

 ここまでの説明を読んでいただけば、だいたい想像できると思います。逆を考えればいいのです。たとえば上司でも部下の信頼が厚く、もちろん実力もあって社内の評価も高いようなタイプです。周囲からも尊敬されたり、慕われています。

 こういう上司は、たとえ部下から間違いを指摘されても感情的になりません。「あ、そうか、ゴメンゴメン」とあっさり謝ります。「うっかりしてた。教えてくれてありがとう」とお礼を言うことだってあります。

 部下のほうも、そのことで上司をバカにしたりはしません。「課長でも間違えることはあるんだな」と思うだけですし、素直に認めてもらえば安心します。むしろ偉ぶらない上司に親しみさえ感じるでしょう。

 実際、ほんとうに力のある人や周囲のみんなから認められている人ほど、威張りません。そうする必要がないからです。ほんとうに偉い人ほど、偉ぶったりしないのです。自尊心が満たされているからですね。だから自分の間違いも素直に認めることができます。間違いを認めたからといって、地位を脅かされることもないし周囲になめられることもないからです。

 親子の場合でも、自分が子どもから慕われているとか、尊敬されていると思える親なら、「あ、お父さん(お母さん)の間違いだよ」などとあっさり言えます。「お父さんもドジだね」と子どもに笑われても「ほんとだな」とニコニコしているでしょう。

 同僚や友人同士の場合でも同じです。弱みを見せたくないとか、負けたくないと考えるタイプほど自分の間違いを認めようとしません。「こんなやつにバカにされてたまるか」と考えれば、相手の指摘に素直に頷くことができなくなります。

 でも、みんなに慕われたり好かれたり、認められている人は違います。自分の間違いを素直に認め、たとえそれで目の前の相手からバカにされたとしても平気です。ただの間違いなのですから。