大掛かりな架空・循環取引疑惑が浮上している。対象となったのはコンクリート二次製品などの建設資材で、北は北海道から南は九州まで全国の有力メーカーや商社の合計15社程度が関与した模様だ。(東京経済東京支社情報部 井出豪彦)
大掛かりな循環取引
議員がらみの可能性も
関係者の話を総合すると、循環取引は今年5月から8月頃にかけて行われ、同月下旬から9月初めに発覚したという。
中心的な役割を担ったとされる会社の営業担当社員A氏は10月末で解雇されたが、A氏の後ろ盾には某市の現職市議会議員X氏がおり、X氏が経営する会社も循環の輪に加わっていたとの情報もある。
9月以降、関係者が何度か会合を重ねて実態解明に乗り出してはいる。X氏も一度は会合に参加したが「A氏に名前を貸しただけ」などと発言し、終始いら立ちを隠せないでいたという。A氏とX氏は同じコンクリート製品メーカーでの勤務歴があり、親しい間柄だったという。A氏は周囲からトップセールスの優秀な社員と認識されていた。
問題の取引はいくつかの商流に分かれているほか、関与した業者も多い。工事案件そのものが架空のケースがあるとされる。いずれにせよ問題究明への各社の協力姿勢に温度差があるなどでなかなか全貌の把握には至っていないようだ。