名物記者が実践レポート

 ある日、麻理恵さんの本が届いたのは、今にも崩れ落ちそうな山積みの資料に埋もれたデスク。このデスクの主こそ、アメリカの主要紙「ニューヨーク・タイムズ」の名物女性記者、ペネロペさんでした。

 本を手に取った彼女は、「まるで、わたしのための本だわ!」と、突き動かされるように自宅の片づけを実践。こんまりメソッドを実際に試して、ペネロペさんの日常が満たされていった体験記を、発信してくれたのです。

大量の仕事を手放したら入ってきた、こんまりNetflix進出の裏側New York Timesで紹介された記事

 これがたちまち話題になり、記事のシェア数に比例するように麻理恵さんの本も売れていきました。

 そしてついに「ニューヨーク・タイムズ」定番コーナーの「書籍売上ランキング」で1位を記録。そこからおよそ1年半も連続で1位をキープするようになりました。「Marie Kondo」は一躍、有名人になったのです。

 本が売れると麻理恵さんのもとには講演や取材の依頼がどんどん舞い込み、気がつけば僕たちは1年の半分以上をアメリカで過ごすようになっていきました。

 2015年には雑誌「TIME」の「世界で最も影響力のある100人」のアーティスト部門に選出。2016年に思い切ってアメリカに移住してからはさらに講演数が増え、麻理恵さんが世界に羽ばたく千載一遇のチャンスが訪れました。

 本が売れるほど、麻理恵さんには次々とすごいステージが用意されていきます。普通に考えれば、エンジン全開・アクセルベタ踏みで突き進むところでしょう。

 でも、僕たちはここであえて活動量を減らして、降ってきたチャンスを手放していくことに決めたのです。

 身も凍るような恐ろしい出来事が、僕にそうすべきだと気づかせてくれました。